国際物流でよくあるトラブル5選と回避策遅延・破損・追加費用を防ぐには?

国際物流でよくあるトラブル事例5選(貨物ダメージ、通関遅延、デマレージ、ブッキングキャンセル、誤配送)と回避策

国際物流は、国内の宅配便のように「明日必ず届く」「きれいに届く」のが当たり前ではありません。国境を越える移動には、天候、通関、船会社の都合、複雑な書類手続き、そして文化の違いなど、数多くのリスクが潜んでいます。
予期せぬトラブルは、単なる納期の遅れだけでなく、数十万〜数百万円単位の追加費用(デマレージなど)や、ビジネスチャンスの喪失、最悪の場合は取引先からの信用失墜に直結することも珍しくありません。

「うちは大手を使っているから大丈夫」「今まで問題なかったから」と油断している時こそ、トラブルは起きます。
この記事では、実際の貿易現場で頻繁に発生している「国際物流のトラブル事例5選」と、それを未然に防ぎ、被害を最小限に抑えるための「具体的な回避策・実務ノウハウ」を徹底解説します。

1. 【事例1】貨物ダメージ(破損・水濡れ・カビ)

よくある発生シナリオ

輸入した家具のコンテナを開梱したところ、商品の一部が水浸しになり、木材にはカビが発生していた。
また、別のケースでは機械部品が入った木箱がコンテナ内で転倒し、中身が破損。使い物にならなくなっていた。

海上輸送中、コンテナは激しい揺れや急激な温度変化にさらされます。日本国内の輸送感覚で梱包を行うと、高確率でダメージ事故に繋がります。

主な原因

  • 梱包強度の不足: 薄い段ボールや、強度の低いパレットの使用。
  • 不適切なバンニング: コンテナ内で貨物が固定(ラッシング)されておらず、航行中の揺れで荷崩れを起こした。
  • 結露(コンテナスウェット): 赤道通過時などの外気温の変化により、コンテナ内部で大量の結露が発生し、貨物を濡らす(「コンテナの雨」とも呼ばれます)。

【対策】回避チェックリスト

  • 強化梱包の採用: 輸出用強化ダンボール(トライウォール等)や木箱梱包(クレート)を検討する。
  • バンニングのプロに依頼: ショアリング(木材固定)やラッシングベルト等で確実に固定する。
  • 乾燥剤の投入: 結露対策として、コンテナ用強力乾燥剤を使用する。
  • 外航貨物海上保険への加入: 必須です。事故が起きた際の金銭的損失をカバーします。

2. 【事例2】書類不備による通関遅延とペナルティ

よくある発生シナリオ

貨物はすでに港に到着しているのに、インボイスの重量記載ミスが発覚。修正申告のために税関検査が入ることになり、許可が下りるまで1週間も足止めされた。
その間、顧客への納期は遅れ、さらに保管料も発生してしまった。

通関書類(インボイス、パッキングリスト、原産地証明書など)の不備は、最も初歩的かつ頻発するトラブルです。税関は書類の整合性を厳しくチェックするため、些細なミスでも審査が止まります。

主な原因

  • 不注意による転記ミス: 数量、重量、単価の入力間違い。
  • HSコード(税番)の誤り: 適用税率が変わるため、税関は特に厳しく審査します。
  • 原産地証明書の不整合: インボイス番号や日付の不一致により、EPA税率(安価な関税)が適用できない。

【対策】回避チェックリスト

  • トリプルチェック体制: 作成者以外の人やフォワーダーによる幾重ものチェックを行う。
  • 事前教示制度の活用: 判断に迷う商品(HSコード)は、事前に税関に問い合わせて確定させておく。
  • デジタルツールの導入: LogiMeetsの「AI書類デジタル化ツール」のように、システムで自動計算・整合性チェックを行うことで、ヒューマンエラーを根絶する。

3. 【事例3】想定外の高額追加費用(デマレージ・ディテンション)

よくある発生シナリオ

通関手続きに手間取り、コンテナを港から引き取れないまま「フリータイム(無料保管期間)」が終了。
1日あたり数万円の超過料金(デマレージ)が加算され続け、最終的に請求額が数十万円になってしまった。

貿易実務担当者を悩ませるのが、この「デマレージ(Demurrage)」と「ディテンション(Detention)」です。これらは船会社にコンテナを返却するまでの時間制限を超えた場合の延滞金で、驚くほど高額になることがあります。

用語解説:2つの延滞料

① デマレージ (Demurrage)

コンテナが港(CY)に搬入されてから、引き取られるまでの期間超過料金。港の混雑緩和のため、高く設定されていることが多い。

② ディテンション (Detention)

コンテナを港から引き取ってから、空コンテナを返却するまでの期間超過料金。納品先での荷下ろしに時間がかかった場合などに発生。

主な原因

  • フリータイムの確認不足: 契約している日数が実際の実務に対して短すぎた。
  • 通関トラブル: 前述の書類不備などで許可が下りず、港から出せない。
  • 倉庫の受け入れ拒否: 納品先の倉庫が満杯で、コンテナを受け入れてもらえず待機が発生した。

【対策】回避チェックリスト

  • フリータイムの延長交渉: 船積み前にフォワーダーへ依頼し、通常より長い期間(14日間など)を確保してもらう。特に中国航路などは柔軟に対応できるケースが多いです。
  • 許可前引取制度(BP)の利用: 通関許可が下りる前でも、担保を提供することで貨物を引き取れる制度の活用を検討する。
  • 倉庫との綿密な連携: 入荷予定を早めに共有し、確実に受け入れられる体制を整える。

4. 【事例4】スペース不足によるブッキングキャンセル(積み残し)

よくある発生シナリオ

クリスマス商戦用の商品を輸入するため船を予約していたが、直前になって船会社から「満船のため載せられません(Roll Over)」と連絡が。
次週の船に回されてしまい、販売開始日に商品が間に合わず、売上の機会損失が発生した。

飛行機と同じく、船も「オーバーブッキング(過剰予約)」を受け付けるのが一般的です。そのため、混雑時には予約をしていても積み残される「ロールオーバー」が発生します。特に中国の旧正月(春節)前や国慶節前、北米のクリスマス前などのピークシーズンは要注意です。

【対策】確実にスペースを確保するために

① とにかく早めの予約(Early Booking)

ピークシーズンは最低でも「3週間前」にはブッキングを入れるのが鉄則です。

② 有力なフォワーダーを選ぶ

船会社に対して強い交渉力(スペース割り当て枠)を持っている大手や準大手のフォワーダーを経由することで、優先的に積載してもらえる可能性が高まります。

③ ピークシーズンを避ける生産計画

物流の繁忙期は毎年決まっています。そこを避けて出荷できるよう、生産や発注のスケジュールを前倒しで調整しましょう。

5. 【事例5】到着地のコンテナ取り違え・誤配送

よくある発生シナリオ

倉庫でコンテナを開けたら、全く身に覚えのない他社の商品が入っていた。
調査の結果、港のターミナルでドライバーがよく似たコンテナ番号の別の貨物を誤って引き取って配送していたことが判明。正しい貨物の再配送手配に数日を要した。

「まさか」と思うかもしれませんが、ヒューマンエラーによる誤配送は現実として起こります。特に混雑する港頭地区では、ドライバーへの指示伝達ミスや確認漏れが原因となります。

【対策】回避チェックリスト

  • 明確な配送指示書: 口頭ではなく、必ず書面(またはシステム)で「コンテナ番号」「B/L番号」「配送先」を指示する。
  • 自動追跡ツールの活用: LogiMeetsの「自動輸送トラッキング」などを使い、「今、自分の貨物がどこにあるか」を荷主自身が把握しておく。異常な動きがあればすぐに気づくことができます。

6. まさかのトラブル発生!その時どう動く?【初動対応フロー】

どんなに対策しても、不可抗力でトラブルは起きてしまうものです。重要なのは「起きた後にどう動くか」です。以下のフローを覚えておきましょう。

1

現状の正確な把握(証拠保全)

まずは落ち着いて状況を確認します。貨物が破損している場合は、絶対に動かさず、そのままの状態で写真を多角的に撮影してください(外箱、中身、コンテナ内部など)。これが後の保険請求で最重要な証拠になります。

2

関係各所への速やかな連絡

フォワーダーと保険会社(代理店)へ直ちに第一報を入れます。「いつ、どこで、どのような状態で発見されたか」を伝えます。事故通知(Claim Notice)は早ければ早いほど良いです。

3

リカバリー策の検討と実行

代替品の発送手配、顧客への納期遅延の謝罪・調整など、商流面での対応を進めます。

まとめ:リスクを最小限に抑える強い物流体制を

国際物流トラブルの多くは、実は「事前の準備」「パートナー選び」で防ぐことができます。
「安ければいい」という基準だけでフォワーダーを選んでいませんか?
トラブル時の対応力、提案力、そしてリスク管理能力こそが、結果としてトータルコストを下げる鍵となります。

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